真夜中
サイレンの音がきこえてくる
眠れない日にきこえてくる
急いでいるのに、どこか行かないでと
このままサイレンが聞こえていてほしいと思う日だってある
小さくなるサイレンにいつまでも耳をすませている
サイレンがきこえなくなると
今度はコオロギかわからないけど、虫のさざめきがきこえてきた
本当はきこえていたはずなのにね
秋が来たと虫の声がいっている
スマホのさわりすぎで頭がいたい
なんともださい理由だ
もうこの体ごと、端末の中に入ってしまったほうがいいような気がしてきた
他人の生死なんて、SNSにいるかどうかくらいだ
俺が死んだってあいつが死んだって
どうせもう二度と会わないんだ
いま、そっといなくなったとしても
それを知らなかったら
まだ生きていると同じことだと思う
どこかで頑張っているなとかあいついまどうしてるかなと思い込むことが
生きているってことなんだ