部屋を片付けて
あとは人間だけが出るだけとなった
部屋というよりは空っぽの箱になったその空間の窓を全開にしてみた
この前まで寒かったのにな
と思いながら空気を思い切り吸った
四年前自分が来た時と
空気になりつつあるなぁと
匂いとか、風の強さとか、空の色とか五感全体で感じ取る
全体は嘘をついた
味覚は使ってないし、正直音で感じる季節はベランダからはなかった
はじめての一人暮らし
高校の時の友達も一人もいない
全てを一人でスタートさせる日々が始まった時
それまでの生活とは180度違うことに戸惑いはありつつも、人生の自由度が上がったような高揚感もかすかにあった
それはまるで、スーパーファミコンから
プレーステーションに移行したゲーム界の転機
のようなものだっただろう
2Dから3DCGの技術に変化した
つまり次元が変わったような感覚があの時は少しあったな
とにかく
だれも友達がいない中で
たった一人で進学するのは
自分にとっては苦しかった反面、カッコ良さを感じてた
というより心細すぎて
そう思わないとやっていけなかったんだろうな
一人でも知り合いがいたら、その人にくっつきまくってただろうし
新生活、一人で家にいるのはとても寂しくて
自分が持てる人脈全てを使って
電話をかけていたよな
昼間はどうしようもないから
カナブーンのシルエットをかけてたのだけはなぜか鮮明に覚えている
まぁそんな一変した非日常が
いつのまにか日常になってて
その間にも、色々なことがあった
沢山の失敗をしたし、沢山の思い出も出来た
また新しい部屋にいってそこでの思い出をまた作るんだろうけど
今だけは余韻に浸らせてくれ