インターンシップの説明会で国際会館に行った。
国際会館に来たのは初めてだった。
自分は大臣でも官僚でもないから普段は用事はない。
国際会館はみどりで囲まれていた。
その中心には、その雰囲気とは対照的な人ごみ。人。人。人。
ぞろぞろと国際会館に入っていく。
会場はそれほど広くなくて、あれだけの人数をうけとめられるキャパシティなんてやはりない。
企業の社員の声なんて聞こえやしない。
会場の廊下では座り込む人が目立つ。
そりゃそうだ、なんとなくみんなが行くからのつもりで来たらあんな人ごみ耐えられるわけがない。
もれなく自分も1時間もせずにリタイアした。
あぁ、せっかく来たのに何をしてるんだという無念さもないわけでない。
それを誤魔化すかのように、ふと鞍馬寺まで行くことを思いついた。
そこからは、すぐに楽しい気持ちになった。
鞍馬寺まではそんなに近いわけではない。
ただ、家よりは近いだけだ。
それだけの理由でこんなにもウキウキする。
なんとなく行く感じは説明会と変わらないのに。
なぜだろう、そんなことはもう考える理由なんて見つからない。
足取り軽く、同志社中学の横の川沿いをひたすら歩く。
京都ならではのまっすぐな道ではなくて、くねくねしてる。やった、碁盤の目から脱出した。
小さいながらもビニールハウスがある。田舎だ。
まだ青々とした、田んぼもあった。
青田刈りに励む会社員のことなんてもう忘れた。
と思ったが、ふと手に持ってる、ビニール袋に目をやった。〇〇ナビのプリントが入ったそれは、いつの間にか周りの景色に、似つかわしくないアイテムになっていた。
急いでカバンの中にしまった。
自分はどこで、降りるんだっけ?
貴船口?鞍馬?どこに行きたいんだろう自分は。
まぁいいや、降りる人が多いところで降りよう。
なんとなくの1日だ。
人生もなんとなくでこれまで来たな。